歯科口腔外科|主任医師 丹羽 裕明
歯科口腔外科で導入している3Dプリンターを活用した治療・手術についてご紹介します。
模型を使った確認で手術の安全性を高める
歯科口腔外科では、口腔がん、顎変形症、埋伏智歯など顎口腔領域のさまざまな疾患に対して治療・手術を行っています。その中でも、顎変形症の手術である「顎骨形成術」と顎の骨の中にある腫瘍の手術である「顎骨腫瘍摘出術」において活用できる3Dプリンターを導入しました。3Dプリンターで模型を作り、立体的な確認ができるようになったことで、手術で顎の骨を切る際に安全で確実な切除範囲の決定が可能に。器具を入れる角度などの精度を上げることができるようになりました。
緊急性のある手術にも対応
今までは外注の業者さんに模型を作ってもらっていたので、できあがりまでに1~2週間かかっていました。今では院内で模型を作れるため、10時間ほどで完成させることができ、緊急性のある手術で模型が必要だというときに重宝しています。特にイレギュラーな手術などにおいては、顎の模型を縦割りにしてリアルに確認することで病態を理解しやすいのです。事前に手術の準備ができるので、手術時間の短縮につながることもあります。
さまざまな症例への活用を目指す
現在は2つの手術において活用していますが、今後はもっといろんな症例に活用できないか検討しているところです。科の中でアイデアを出し合い、それを実現していきたいと考えています。多治見病院は地域の拠点病院であり、歯科口腔外科でも、口腔がん、顎変形症、歯性感染症、粘膜疾患から親知らずまで、さまざまな症例に対応しています。地域の皆さまに頼っていただけるような場所として、これからもいろいろと精進してまいります。