産婦人科
妊婦さんの血液で染色体異常を調べられるNIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)の導入

産婦人科では、NIPTを導入しています。
その特徴や注意点などについてご紹介します。

産婦人科:部長 中村 浩美

東濃地区唯一のNICU設置施設として周産期救急医療に注力

 産婦人科では、安心して治療を受けていただける環境を整えています。合併症等をもつハイリスク妊娠や分娩を中心に、24時間当直体制で診療を行っているのが産科の特徴です。また、東濃地区唯一のNICU(新生児集中治療部)設置施設として周産期救急医療に力を入れています。婦人科では子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症等の良性婦人科疾患の治療を行っています。可能な限り開腹手術を避け、低侵襲性治療を行うという立場から、内視鏡手術(腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術)に重点を置いて診療にあたっています。

体への負担が少ないNIPTを導入

 当科では、NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)を導入しています。NIPTは、妊娠10週~15週に採血を行い、お腹にいる赤ちゃんの染色体異常を調べる検査です。妊娠中の染色体疾患の検査には羊水検査や絨毛検査もありますが、これらの検査は妊婦さんのお腹に針を刺して行うため、大きな負担がかかるとともに流産のリスクもあります。妊婦さんの血液のみで検査できるNIPTは体への負担が少なく妊婦さんにとって大きなメリットとなるのです。ただし、NIPTは21番、18番、13番染色体の異常を調べる検査ですので、染色体についてのすべての異常がわかるというわけではありません。また、検査で陰性と出ても異常があるというケースもありますので、そういったところまで含めて理解してから受けるかどうかを決めていただきます。

“親になる”、“命を任される”という覚悟をもって夫婦で選択をしてほしい

 当院は、出生前検査認証制度等運営委員会が認証した認証医療機関です。NIPTを実施している病院は多数ありますが、この認証医療機関に該当しない病院で検査を受けると、結果の説明がない、今後についてのお話がないという場合もあります。そこで検査の結果が受け入れられず、自分たちで中絶という判断をしてしまう方もいるのです。覚悟がないままにそういった判断をしないためにも、まずは認証医療機関を選ぶということが大切です。また、検査の結果が陽性だった場合、産む・産まない以外にもさまざまな検討が必要となってきます。当院では、カウンセリングをしたり、いろんな人と話す時間をとったり、たとえばダウン症の赤ちゃんを出産された方と話す機会をつくることもあります。NIPTをはじめとする出生前検査は、赤ちゃんの状況を正確に把握し、将来の予測をたて、妊婦さんおよびそのパートナーの家族形成のあり方などの意思決定の支援を目的としています。検査を検討する際には、十分な説明や遺伝カウンセリングが必要です。妊娠がわかったら、“親になる”、“命を任される”という覚悟をもってもらうために夫婦で来院いただき、まずはお話をします。検査するかどうかを選択するのも夫婦ふたりです。夫婦にとって一番よい選択をできるよう、当科でサポートをしていきます。