消化器内科
胆道内視鏡と電気水圧衝撃波結石破砕装置で行う胆道結石へのアプローチ

消化器内科で導入している胆道内視鏡と電気水圧衝撃波結石破砕装置についてご紹介します。

消化器内科:部長 兼 内視鏡センター長 奥村 文浩

2つの機器を組み合わせ結石除去を強化

新型胆道内視鏡と電気水圧衝撃波結石破砕装置

 消化器内科では、急性・慢性消化器疾患および消化器がんの診断と治療に取り組んでいます。胆道結石に対しては、主に内視鏡的乳頭切開術で結石の除去を行っており、通常の十二指腸ファイバーで処置ができない患者さんに対しても、小腸内視鏡を用いて積極的に内視鏡的治療を行っています。2017年からは新型胆道内視鏡(Spy GlassTMDS : Boston Scientific社製)と電気水圧衝撃波結石破砕装置の2つの機器を導入しました。経口胆道鏡自体は昔からあるものなのですが、操作性や耐久性に問題がありなかなか一般の病院に普及していませんでした。新型胆道内視鏡は優れた操作性と画質をもつデジタル内視鏡で、胆道内を細かく観察したり、胆管の中を見ながら治療したりすることができ、本当に画期的だと感じます。画質がいいのはもちろんのこと、使う前の準備も簡単なので、使う立場からも重宝しています。電気水圧衝撃波結石破砕装置は1-2㎜の細いプローブの先端から高電圧スパークによる衝撃波を発生させることにより結石を破砕する装置です。新型胆道内視鏡と組み合わせて使用することにより、従来の内視鏡治療では取り除くことができない胆道結石を取り除くことができるようになりました。

患者さんへのさまざまなメリットも

 従来はレントゲンを見ながら結石を割っていましたが、胆管の壁に密着した結石や硬い結石だと時間がかかったり、何度か処置を実施する必要があったりします。長時間の処置に耐えられない患者さんに対しては、胆管内にステントというチューブを留置して経過を見て定期的に入れ替えるということをしていました。この2つの機器を導入してからは、短時間かつ1度で終わることが多く、トータルでかかる時間が短くなったため、今までだと処置が難しかった方への対応も可能となりました。再発しにくいというメリットもあり、患者さんの体にも優しい手術ですので、このことをいろんな方に知っていただきたいです。そして、結石の完全除去が難しいと考えられていた患者さんにも“結石を取る”ことを目標にしていただきたいですね。

消化器疾患の治療を完結できる病院を目指して

 新型胆道内視鏡では細かなところまで見ることができるので、がんの診断をするときやがんの広がりを確認するときにも活用でき、しっかりとした診断につながります。今は主に胆管に使用していますが、今後は膵管への応用が期待できるでしょう。消化器内科としては、当院内で消化器疾患の治療を完結できることを目指しています。手技のスキルアップはもちろんのこと、新たな機器の導入も積極的に行ってチームのレベルを上げ、患者さんが完治するまで安心して通っていただけるような環境をつくっていきたいと考えています。