泌尿器科
地域を支える泌尿器科として、3つの新たな治療法を採用

泌尿器科|部長 藤田 高史

この度、泌尿器科に新部長が着任しました。導入準備中の新たな治療法についてご紹介します。

あらゆる手術経験を活かし治療の幅を広げていく

泌尿器科 部長 藤田 高史

私はこれまで名古屋大学において、主に腹腔鏡の手術とロボット手術、腎移植と前立腺癌に対する小線源治療などに取り組んできました。泌尿器科に来られる患者さんの病気では検査を含めて前立腺癌がもっとも多く、膀胱癌、腎盂尿管癌といった尿路上皮癌や腎癌などがあります。こうした癌に対して有効な手術を患者さんの負担をより少なくするために、これまでの知見を生かして多治見病院で実施できる治療の幅を広げていきたいです。

患者さんの負担を減らす3つの治療法

当院での治療を充実させるため、新たに3つの治療法の導入準備を行っています。

1.手術支援ロボットの導入

術者による経験の差を少なくし、手術をより低侵襲で正確に行えるメリットがあり、2024年の導入に向けて準備を進めています。

2.前立腺癌に対する放射線治療(IMRT)におけるスペーサー留置の導入

直腸への放射線障害を軽減し、一回あたりの放射線量を強く照射できるようになります。従来は2か月弱かかる放射線治療を1か月ほどに短縮でき、患者さんの負担も軽減します。こちらは2022年度中の導入を目指しています。

3.経尿道的膀胱腫瘍切除術における光線力学診断( P D D:Photodynamic Diagnosis)の導入

通常の白色光では発見できない微小な腫瘍を、光線力学診断用剤を服用し青色光を当てることで赤く見えるようにする技術です。通常では切除できなかった腫瘍を切除でき、再発率の低下が期待できます。

現在当院では前立腺癌の手術を開腹で行っていますが、その場合にもお腹の傷が小さくなるようにしたり、積極的に腹腔鏡を使用したりするなど、患者さんの負担軽減のための低侵襲手術を心がけています。手術件数の増加とともに、目標とする「地域で必要な手術が受けられる環境」への着実な進歩を感じています。今後も新たな治療法の導入への取り組みを進めてまいります。

多治見病院の泌尿器科をより充実した診療科へ

東濃地区に暮らす方が遠くの病院まで行かなくても治療が受けられる環境を整えていきたいです。また現在当院の泌尿器科の常勤医師は2名のため、泌尿器科の仲間を増やすこともひとつの目標です。当院は東濃地域の砦のような病院でもあるため、新たに治療法を導入することで、今まで対応できなかった治療を受けていただけるように成長し、地域全体の医療に泌尿器科として貢献することを目指していきます。